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アナウンサーブログ

約160kmのトレラン大会で、まさかの・・・

プライベート 2022/04/29

ウオッチデータでは163kmとなっていますが・・・

距離165.6km。累積標高7573mのトレイルランニング大会に参加してきました。それが、ウルトラ・トレイル・マウント・フジ(Ultra-Trail Mt.Fuji)、頭文字を取って“UTMF"です。約2000人が参加する国内最大のウルトラトレイル大会です。

これまで100kmのロード(舗装路)を走る“ウルトラマラソン"は何度か完走したことはありますが、トレイル大会は80kmまでだったので初挑戦でした。距離160km超はマイル換算(1マイル≒1.6km)すると100マイル。完走すると“マイラー"(和製英語)と賞賛されます。


富士山の周囲を走る"UTMF"のコース図(短縮前)

大会は2022年4月22日(金)午後2時30分から順次ウエーブスタートし、24日(日)午前11時30分までの制限時間は最小で44時間です(コース短縮前)。つまり、ゴールが遅いと丸2晩を山中で過ごすことになります。それなりの準備と覚悟が必要です。


富山のラン仲間からもらった"UTMF"テープで膝を守る

新型コロナの影響で3年ぶりの開催。自分も2020年大会にエントリーしていましたが、出場権を2年繰り越し、ようやくスタートに立つことができました。

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前日の抗原検査会場、陰性でないと会場に入れない


約10分で赤いラインが"C"の所に現れる、これが陰性の証


白のバンドが陰性証明で、受付完了すると青のリストバンドが巻かれる

コロナの感染拡大は全国的に落ち着いたものの、まだまだ予断を許さない状況。前日受付で抗原検査を受けなければなりません。キットを使って自分で調べます。陽性なら、その時点で“アウト"。判定が出るまで約10分の時間が長い。結果はもちろん陰性で、第1関門を突破した気分です。その後の荷物チェックも終えてリストバンドを巻いて準備完了です。


手作りの行程表には35時間、38時間、40時間での完走を想定した各エイドの出発時間を記入

ところが、スタート前日夜に激しい雨が予想されたため、コース前半の肝ともいえる山岳地帯(天子山地)の区間が迂回され、スタート時間も1時間遅らせることが決定しました。このため、距離は157.9km、累積標高6338mに短縮。残念でしたが、ホッとする自分もいて複雑な心境です。

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スタート前には3年ぶりの大会を盛り上げる音楽が流れてテンションが上がる


富山から参加するランナー仲間、一緒に練習して"UTMF"に備えてきた


12リットルのザックがレインウェアや菓子類などでパンパン

スタート当日は、青空が広がる絶好のトレイル・デー。ゴール地点の富士急ハイランド(山梨県)からバスに乗って、スタート地点の富士こどもの国(静岡県)に移動。富山県からのラン仲間と記念撮影。20人近くが参加していて、互いの健闘を誓います。自分は第2ウェーブで午後3時45分のスタートです。


スタート直後の速いペースに驚く、これでは最後まで持たない!


富士山の麓には溶岩や噴石があるのか、黒い岩石の窪地を通過


最初のエイドで実行委員会の共同代表で医師の福田六花(ふくだりっか)さんを発見!


道案内の白いガイドテープ、反射材が付いていて夜は光るのでとても分かりやすい

この大会のすごい所は、選手のコース・ロスト(道迷い)を防ぐため、100m間隔にガイドテープが示してあるところです。約160kmだと1600枚にも上ります。


ヘッドランプを点けて進む、ランナーが多いから心細いことはない 


2つ目の「麓エイド」では、名物"富士宮焼きそば"が提供されるとランナーの行列が

スタートが夕方近かったので、あっという間に夕闇に包まれました。ヘッドランプが必要になります。夜の森の中は本当に真っ暗です。
2つ目の「麓エイド」は大きな屋根があり、たき火があって暖かく感じました。ランナーはエイドで提供されるその土地の食の名物を楽しみにしています。富士宮焼きそば、身延饅頭など、次のエイドに向けて、どれだけエネルギーになることか。


真っ暗闇でも月明りで輪郭が分かる"富士山"、その懐に抱かれて走っていることを実感する

スタートから4つ目の「精進湖エイド」を目指して走っていましたが、よく分からず結果的に"スルー"。その後、2日目の23日(土)午前3時ごろに分岐点にいたボランティアに聞くと、もうだいぶ前に通り過ぎたとの返答。「しまった!」と思ったものの、引き返して戻るには1時間以上はかかるだろうと考え、前に進むことを決意しました。手持ちの水は残り少なく、そのエイドで補給するつもりでした。提供される“雑炊"もエネルギー補給のため食べたかったのですが諦めざるを得ませんでした。大体、こうしたロングトレイルでエイドを“スルー"したいと考える一般ランナーは、まずいません。エイドはいわば“砂漠のオアシス"だからです。この時、チェックポイント(関門)のことは全く念頭にありませんでした。


水分を補給したいと思っていた矢先に発見した自販機コーナー


ジュースはその場で飲み干し、それ以外はフラスク(ランニング用ボトル)に補充する

その後、10分ほど走っているとロード区間に入り、ありがたいことにすぐさま自動販売機を発見。何という幸運か!補給用の水とスポーツドリンクに加えて、その場で飲むためのジュースを購入しました。エイドに立ち寄っていれば無料でしたが。


青木ヶ原樹海の看板があり、右手を見ると暗い森が広がっている

霧がかかる中、青木ヶ原樹海の脇を通り抜けます。時刻は午前4時前、見えないものが見えてしまわないか少しだけドキドキしました。気温は11度、寒さを感じます。


夜明けとともに富士山と並走していたことに気づく


「五湖台」という展望広場から望む富士山、朝の澄んだ空気で美しさが倍増


眼下に広がる河口湖、ここから一気に湖畔まで下る

午前4時半頃の夜明けとともに富士山が雄姿を現します。
さらに1時間ほど進むと展望台があり息を飲むほどの絶景が広がっていました。これまでの疲れが癒される瞬間です。木漏れ日が降り注ぐ中、眼下に見える河口湖に向かって下ります。ここで膝に痛みを感じるようになりました。騙しだましゆっくり下ります。


なぜか山ではシーフード味が食べたくなるのが不思議


富山のランナー仲間が一足早くエイドを出る

あらかじめ預けた荷物を受け取れる“ドロップバッグ"がある富士急ハイランドのエイドにたどり着いたのが23日(土)午前7時半ごろ。ここまで距離にして88km。半分は過ぎました。バッグの中に入れておいたカップラーメンを食べて腹を満たします。シューズと上着を取り替えてリフレッシュした気持ちでエイドを出ようとすると大会スタッフに呼び止められました。

「数家さんですね、1つ前の精進湖エイドに立ち寄りましたか?」
「気がつかずにスルー、通過しました」
「各エイドにある関門を通過しないと"失格"です」
「えっ!・・・」

シューズにはICチップを取り付けていて、エイドの出入り口で通過したかどうかをチェックしています。つまり、エイドが関門になっているのです。言葉もありませんでした。突然言い渡された「失格」でした。

目標としていた大会。
本来は2020年にエントリーしていたが新型コロナの影響で2年先延ばしされ、やっと走ることができた大会。
仕事が最優先だけどプライベートな時間のほぼ全てを練習にあて、これまでで一番走り込んで臨んだ大会。
たくさんのランナー仲間に支えてもらい応援してもらった大会。
富山から同じ思いで参加した仲間と一緒に走っている大会。
家族の理解があったからこそ走ることができた大会。


3月の走行記録はトレイルを中心に679km、累積上昇は20kmを超えていました。

「失格は分かりましたが、この先もゴールまで走っていいですか?」
「記録は残りませんが、いいですよ」

いろんな思いがあったので、リタイア=途中棄権するという選択肢はありせんでした。残り69kmは楽しんで走り切ろう。


富士山とシダレザクラの共演


ツライ登りを越えれば眼下に広がる絶景

"腸脛靭帯"(ちょうけいじんたい:膝外側の靭帯)による膝の痛みは、悪化する一方。暑さのため"かぶり水"のサービスを案内していた「山中湖エイド」には、テーピーングのサポートブースがありました。膝の痛みを何とかしてほしいと駆け込みます。膝外側にテープを貼ってもらいましたが、汗などでくっつきが悪く、すぐに剥がれ落ちてしまいました。応援の気持ちは十分受け取りましたが。


2日目は気温が上がり熱中症対策で"かぶり水"のサービス、もちろん"かぶった"


腸脛靭帯をサポートするようにテーピングする


テープを貼った後、靭帯のツボを指圧してもらう。
「痛い!」と言うと「今、痛いのと、後で痛いのはどっちがいい」と聞かれる


約130km地点「二十曲峠エイド」に到着した際、富山県から来たボランティアに撮影してもらう

2回目の夜を迎え、県内のランナー仲間と励まし合って登ったコース最高地点の「杓子山」(1598m)に到着


いくつものロープ場があり登山のように"3点支持"で登った「杓子山」頂上で(23日午後9時前)

ゴールまで最後の難所「霜山」(1302m)は、約5km続く登りでは、まだ足が残っていたものの、同じく約5kmの下りは腸脛靭帯による膝の痛みがさらに悪化して心が折れそうでした。そうした中でも踏ん張れたのは、同じく膝の痛みがある京都の男性と“バディ"を組んで声をかけ合いながら1歩1歩進んできたからです。


"バディ"の京都の男性と一緒にゴール、ペースが同じで話すことで気が紛れた


記録が残らないので、せめて時計の中で記録を残す

3日目の24日(日)午前3時半すぎ。バディと並んでフィニッシュテープを切ることができました。失格なので記録は残りませんが、自分の時計で35時間50分あまり。よくぞ一睡もせず走り(歩き)続けることができたと感無量。だけども何だかすっきりしない気分。自分に"失格"を告げた大会組織委員会の人がいたので近づくと、向こうも自分に気づいて握手を求めてきた。そこで、つい言ってしまった。「来年リベンジします」。
※「UTMF2022」完走率:約80%


完走者に配布されるフィニッシャーベスト。「途中で"失格"だと言われましたが、フィニッシュしました。もらえますか?」とスタッフに聞いたところ、「どうぞ」と返答があり、いただいてきました


右胸には中止となった2020と2021年大会の思いが込められている

※走りながらずっと考えていたのが「なぜ精進湖エイドに気づかなかったのか」。これに尽きます。実はエイド近くでユーチューブ動画用の撮影をしながら走っていたのです。その時の映像を確認してみると、リタイヤ選手用のバスが道路の左側に止まっていて、ハンディカメラと顔をそちらに向けていました。エイドの入り口はちょうどその反対の右側にあり気づかなかったようです。5月13日(金)に配信予定のKNB公式ユーチューブチャンネル「エブリィ・アネックス」で詳しくお伝えします。


左側にバス停車、右奥に小さく見える四角い看板が「エイドステーション入口」を知らせている

KNBアナウンサー

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